生命は、平板な時の流れの中に生じた小さな渦巻です。それは実体ではなく、単に一過的な現象にすぎず、早晩に跡形もなく消え去ってしまうものです。
しかしそれは、今、ここに、厳として存在し、確乎たる光輝を放っています。最も重要なのは、その光輝が放たれたということ、つまり、生命の証が悠久の時の流れの中のひとつの刹那に刻み込まれたということなのです。
路傍にひっそりと咲く野生の花たちも、自らの生の証をしっかりと時の中に刻み込んでいます。花は、単に虫たちを呼び集めるための広告塔というだけではなく、彼らの生命の精華であり、「時」に向かって投げかけられた光輝そのものなのです。